反射材の種類と交通安全への役割

トラック及びトレーラーへの大型反射器装着

交通安全規制では、夜間の視認性を高めるため、車両に反射テープの使用が義務付けています。 国土交通省の道路運送車両の保安基準では車両総重量7t以上の貨物車には、「大型後部反射器」の装着が義務付けられています。

道路運送車両の保安基準は一部改正されており、


平成19年1月30日付官報にて、「大型後部反射器に係る協定規則(第70号)」(ECE R70)を平成19年4月1日より採用(平成23年9月1日以降の生産車両より強制適用)する旨告示されました。
それに伴い、「道路運送車両の保安基準」(昭和26年運輸省令第67号)、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(平成14年国土交通省告示第619号)等が改正となりました。
平成23年9月1日以降の生産車両にはECE R70の技術要件を満足した製品の装着が義務付けとなります。

【改正内容】

★使用する反射器の種類を
トラック・トラクター用に「縞(ゼブラ)型」、 トレーラー用に「額縁型」と限定されました。

★取付要件の変更
高さは上端が1.5m以下 →

下端が地上0.25m以上、上端が地上1.5m以下(ただし自動車の構造上、取付が困難な場合にあっては、2.1m以下)

★大型化
一辺が130mm以上の長方形、反射部の面積:800cm2以上、蛍光部の面積:400cm2以上 →
長さ(2個又は4個の場合は合計)1,130mm~2,300mm
・トラック・トラクター用 幅:140±10mm 縞幅:100±2.5mm
・トレーラー用 幅:200+30/-5mm 縁取:40±1mm
★反射特性の向上
再帰反射係数122cd/lx/m2 → 300cd/lx/m2(現行の2.5倍)

歩行者の反射材装着

トラックなどの反射材装着は国際規格などにより、各国で厳しく義務化されていますが、歩行者の反射材装着は各都道府県の警察から反射材の着用が推進されているものの、歩行者用反射材の事故防止効果の認知度はあまり高くありません。



その一つの原因として反射材が付いたタスキやシールはどことなく「やぼったい」と言うイメージがあり、外出の度にタスキを肩から掛けるのは面倒と考える人が少なくないからかもしれません。 

お子様帰宅時の事故が心配であれば、普段使うバッグやランドセルに反射テープを縫い付けておけば、意識する事なく、普段から反射材により家族を交通事故から守ることが出来ます。
夕方などドライバーの視力が低下する時間帯でも可視性を高める様、色のコントラストがある様、コントラストの高い反射材の着用を強くお勧めします。つまり、子供のランドセルが赤い場合は、銀の反射テープなどを選ぶと、夕方など日没時の可視性を高める効果が得られます。

スポーツ競技・海事での反射材の利用

マラソン、自転車競技、カーレース、その他のスポーツ競技でも、反射材が使われます。協議中のランナー、自転車、車両等は、遠くから容易に認識され、アスリートの交通安全対策やスコア・記録キープなど、競技の安全運営に貢献しています。

反射材テープの汎用性

反射材シートの多くは粘着層があり、多目的に使用できます。道路用に生産されたものや、SOLASなど海の安全を守るために作られているため、耐候性にも優れ、色や反射特性の劣化もありません。いったん装着されると、衝撃を与えない限り、長期間の仕様に耐える事ができます。 反射材を選ぶ場合、使用目的を絞り、使用時間及びどの様な条件下で使うかを考慮した上で選ぶ事をお勧めします。  使用時間が短時間で使用環境がそれほど厳しくない場合はローコストの反射材。 長期間、高い反射性能を厳しい条件下で利用するのであればハイパフォーマンスの高輝度反射材など反射材の特性・特徴を良く把握した上でのご購入をおすすめします。

反射材の種類とその特徴

再帰反射素材

道路標識・安全ベストなど使用されるのが再帰性反射素材です。入ってきた光を入った方向へ帰すので、ドライバーの先にある標識や安全ベストがドライバーに見えるのも再帰反射素材が使われているからです。

その再帰性反射材にマイクロプリズムを使用したプリズム反射材とガラスビーズを利用したカラスビーズ反射材の2種類があります。

ガラスビーズ型反射材

ガラスビーズへ光はガラスビーズの前面を通過し、ビーズの後ろの鏡面から再び反射されるときに屈折します。その後、光線は前面を通過して光源に戻ります。
ガラスビーズを使用した反射材はその生産コストが低い為、大量の反射材が必要な場合や短期間の使用で、破棄されてしまう工事用看板などの場合は、コスト面から考慮して、ガラスビーズ型がお勧めです。

ガラスビーズ反射材には製造工程に違いにより

  • 露出型のガラスビーズ反射材: 露出型は反射膜にガラスビーズを均一に並べてあり、ガラスビーズが露出しているため、高輝度になりますが、その反面、耐久性は他のタイプに比較し、若干低めです。 主に安全ベストなどに使用されています。
  • 封入型のガラスビーズ反射材:  封入型はガラスビーズの層は透明な樹脂により、保護されています。汚れに強く、耐久性が高いため、道路用看板などに使用されます。
  • カプセル型のガラスビーズ反射材:  カブセル型はガラスビーズの上に空気の層があり、その上に透明なフィルムを覆った反射材です。封入型に比べ空気の層がガラスビーズ本来の反射性能を高めています。カブセル型はガラスビーズ反射材は主に道路道路標識などに使われています。

プリズム反射材

プリズム反射材はプリズムをシートに並べ、接着して作ります。再帰性反射反射を起こすのはガラスビーズ反射材と同じですが、カラスビーズに比べ、高い輝度を確保でき、そのため高い輝度が必要な道路標識に使われます。 プリズム反射材には

  • 軟質型のプリズム反射材
  • 硬質型のプリズム反射材
  • カプセル型のプリズム反射材
があります。 軟質型はトラックの凹凸に対応する車両用反射テープなどに使われ、硬質型はその耐候性能の高さから、ガードレールなどに使用されています。カプセル型のプリズム反射材は耐久性及び輝度が高く、ガラスビーズの3倍以上の輝度があります。そのためカプセル型のプリズム反射材は高速道路の標識に使われています。